小学校を核に公民館機能・体育館機能・児童センター機能を集約した複合施設
高浜市地域交流施設「たかぴあ」(以下たかぴあとする)は、愛知県三河地方・高浜市に立地する、小学校・公民館・体育館等の機能を複合した文化施設である。
同市では、少子化の時代にあって今後も児童数の大幅な減少が見込まれないため、現在の学校数を維持しつつ、公共施設全体の総量圧縮を図る必要性があった。小学校区を単位とした地域活動を行うまちづくり協議会の拠点としても学校が利用されていることから、他の公共施設を小学校に集約する形で、再編を実施した。
財源不足への対応‐複数省庁の国庫補助を活用
本事業は、財政支出の平準化及び削減を企図し、PFI(BTO方式)にて推進された。施設整備費の一部に民間資金を活用することで財政支出を平準化できる、という点はPFI導入の大きなメリットであるが、同市が本事業を推進するにあたって対面した財源不足という課題に、別のアプローチからも対応を行った。
それは、複数省庁の国庫補助を活用したことである。具体的には、市民も利用可能な学校体育館※には学校施設環境改善交付金(文部科学省)や、一体的に整備された児童センターには子ども・子育て支援整備交付金(厚生労働省)、校内の木製設備は木の香る学校づくり推進事業(愛知県:当時)など、複合施設に属する各機能や設備ごとに複数機関の補助制度を的確に組み合わせて活用することで、財源を補うことができている。
※音響・スライド式座席等のアリーナ設備には充当せず
小学校と市民活動機能の一体化-市民の利便性向上
たかぴあの大きな特徴として、小学校と公共施設(公民館機能、児童センター等)が複合しているため、市民の利便性が向上していることが挙げられる。例えば、複合化前は児童センターが小学校から20~30分程度離れて立地していたため、不便かつ保護者より防犯上の懸念が寄せられていた。しかしそれらが一体的に整備されたことで、利用する小学生にとっても、迎えに行く保護者にとっても利便性が高まり、大いに歓迎されている。
また、公民館機能(集会室等)と体育館が集約されていることで、市民団体の利用にあたってもそれらの連携・一体利用が可能となっている。さらに小学校施設の中でも、音楽室等は児童が使用していない時間に市民利用が可能であるなど、学校機能とそれ以外の施設機能をうまく組み合わせて効率的に市民へ提供している。
一方、同一の施設を児童と市民が利用することになるため、防犯上の懸念も想定される。この対策としては、小学校と、児童センター・体育館等との出入口を分けることで、生徒と施設利用者の動線を分離し、セキュリティを確保しているほか、館内にセキュリティゲートを設置することで、小学校の防犯性を高めている。
行政側から見たメリット-維持管理の品質向上、業務負担の軽減
市担当者は、本事業の実施による大きなメリットとして、業務負担が軽減されたことを挙げている。学校開放諸室の窓口が地域交流施設に集約されているため、学校現場の負担が軽減されたことや、維持管理業務の連絡先が一元化され、現場の負担が軽減されたことも歓迎されている。
さらに、本事業ではPFI事業者が向こう10年超の施設・設備の維持管理計画を提案し、高浜市からはそれを実施可能なサービス購入料が支払われている。通常の公共施設では予防保全が可能となる水準の維持管理費を独立して確保することが難しい一方で、PFI事業では設計・建設・維持管理を一体的な事業として予算を確保して行うことで、手厚い維持管理を実現でき、結果的に将来負担も抑制できることも大きなメリットだ。
本事例の詳細は、こちらをご覧ください。
- 添付ファイル