公民館・図書館の官民連携/デジタル活用事例

100歳まで生活を支えるデジタルサービス「ひゃくワク SARABETSU DIGITAL」(北海道更別村)

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地域資源と暮らしをつなぐ、更別村のデジタル生活支援

北海道十勝地方に位置する更別村は、広大な農地と豊かな自然に恵まれ、長い歴史を持つ地域である。村では古くから小麦やジャガイモなどの農作物の栽培が盛んに行われ、地域の食料基盤を支えてきた。村内には、地域の暮らしや文化を伝える貴重な資料が数多く存在しているものの、これまで村民や訪問者が気軽に体験できる場は限られていた。こうした地域の課題を背景に、国でも地方の暮らしを支えるデジタル施策が打ち出されることとなった。

全国の地域を変えるデジタル田園都市国家構想

令和3年10月、岸田内閣が発足し、地域の「暮らしや社会」「教育や研究開発」「産業や経済」をデジタル基盤の力により変革する方針を示した。その中で、「大都市の利便性」と「地域の豊かさ」を融合させることを目指した「デジタル田園都市国家構想(通称デジ田)」を表明したのである。この構想では、全国の都市・地方問わず、デジタル技術を活用して行政サービスや教育、医療、交通、産業基盤などを効率化・高度化し、地域住民が豊かで便利な生活を享受できる社会の実現を目指している。さらに、地域資源の活用や地方創生にも重点を置き、都市と地方の格差を縮小しつつ、持続可能な地域経済の発展を図ることも目的としている。
(デジタル田園都市国家構想イメージ)     
デジタル田園都市国家構想イメージ
(出典:デジタル庁「デジタル田園都市国家構想」)

100歳までワクワク

この国の方針を受け、更別村では、「100歳になってもわくわく働けてしまう奇跡の農村」という未来像を掲げ、村民一人ひとりが年齢を重ねても豊かに暮らせる地域づくりに取り組んでいる。村内の豊かな農地、恵まれた自然環境、そして地域資源を活かしながら、健康維持・生涯学習・地域活動・デジタル支援を通じて、「暮らしのワクワク」を持続できる社会を目指しているのである。
たとえば、定期的な健康チェックや栄養・運動プログラムが整備されており、高齢になっても「自分らしく暮らす」ための支えとなっている。また、趣味や学び、地域のコミュニティ活動への参加機会もデジタル技術により拡大されており、住民が互いにつながりながら地域で元気に暮らせる環境が整備されている。
さらに、オンラインでの健康相談や見守りサービス、移動支援・買物支援などの日常サービスと一体化し、「暮らし・活動・つながり」の三つをデジタルでつなぐことで、年齢を重ねても安心して過ごせる仕組みを実現している。更別村が描くこの取り組みは、「100歳までわくわく」というキャッチコピーのもと、未来に向けた村の新しい暮らし方を提示しているのである。

更別ベーシックインフラサービス

この理念を実現するために、村では「更別ベーシックインフラサービス」が整備された。デジタルサービスを活用して、生活支援や地域活動を包括的に提供し、村民一人ひとりが必要なサービスに容易にアクセスできる環境を整えたことが大きな特徴である。さらに、地域の農産物や文化資源、教育・福祉サービスなどをデジタル基盤で連携させ、日常生活から地域活動まで幅広く支援できる仕組みを構築している。このサービスにより、住民は暮らしの利便性を向上させると同時に、地域資源や活動に自然と触れ、参加する機会を増やすことが可能となったのである。
 
更別ベーシックインフラサービス     
更別ベーシックインフラサービス
(出典:北海道更別村スーパービレッジ構想 実現に向けた取組)
 
「更別ベーシックインフラサービス」では、村民の日常生活を多方面から支えるための各種サービス(ひゃくわくサービス、超なまら本気スマート農業、デジタル公民館)が整備されている。その中、自動運転シャトルや定期便による移動支援により、交通手段の利便性が向上するとともに、買物のオンライン・宅配サービスにより生活必需品の入手も容易になっている。さらに、健康・見守りサービスを通じて、日々の生活の安心感も高められている。また、オンラインでの行政手続きや各種申請の利便性も向上し、地域活動や学習、趣味活動への参加もデジタル技術で支援されていることで、村民は地域とつながりながら、自分の生活に必要なサービスや情報に容易にアクセスできる環境が整っている。
更別ベーシックインフラサービス     
更別ベーシックインフラサービス
(出典:北海道更別村スーパービレッジ構想 実現に向けた取組)
 

デジタルによる予約システムの導入

「ひゃくワク SARABETSU DIGITAL」のポータルサイトを通じて、各種サービスや施設利用の予約をオンラインで行える予約システムを導入している。この予約システムは、住民が施設を利用する際に生じやすい予約手続きの煩雑さや、電話や窓口対応による負担を軽減し、誰もがスムーズにサービスを利用できる環境を整えることを目的として整備されたものである。住民はポータルサイト上で各種サービスの予約状況を確認しながら、診療所の受診予約や地域サービス、各種イベントや活動への参加申込みなどをオンラインで行うことが可能となっている。これにより、従来の電話予約や窓口手続きに比べて利便性が向上するとともに、施設利用や地域活動への参加がより容易になっている。
     
デジタル予約システム
(出典:ひゃくワクSARABETSU DIGITAL)
 
また、施設予約機能の導入により、住民が地域施設やイベントをより利用しやすい環境が整備されている。従来、施設利用の予約は電話や窓口での手続きが中心であり、利用者にとって時間的・手続き的な負担が生じる場合もあった。これに対し、更別村のポータルサイトではオンライン上で施設やイベントの予約状況を確認しながら手続きを行うことが可能となっており、住民が自宅やスマートフォンから簡単に予約を行える仕組みが整えられている。
     
住民ポータルサイトのトップページと地図情報検索
(出典:ひゃくワクSARABETSU DIGITAL)
 

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