8施設の機能を保ちながら集約
習志野市は「きみに負担は残さない」をスローガンに、子どもたちが大人になったとき”ちょうどいい”まちを目指して公共施設を時代の変化に応じて適正化・再生していくことを目指している。プラッツ習志野(大久保地区公共施設再生事業)は、まさにそのモデルというべき事業だ。
具体的には従来の8施設(7建物)にまたがっていた生涯学習や市民活動のための機能を維持しつつ、敷地内の3建物に統廃合しているのが大きな特徴で、新築と既存施設のリノベーションを組み合わせたPFI事業により整備されている。
国の制度も本事業を後押しした。整備費における財源の大半は「公共施設等適正管理推進事業債」という地方債の一種で確保されている。これは公共施設の集約・再生を促進するために創設された制度で、老朽化対策に関する計画策定や集約化による延床面積減少を条件に、起債充当率9割、元利償還金の最大5割に対し地方交付税を手当て、という大きな財政的メリットを得られている。
利用者の声を開館前~開館後も収集・反映
施設の集約化は、利用者目線ではワンストップによる利用の利便性向上や複数機能間の連携といったメリットが見込まれる一方、施設予約・利用方法の変更や移転・集約化による交通アクセス低下といった不安も事前に市民からは寄せられていた。
そこで習志野市では、市民向けの全体説明会を平成25年から平成30年までの間で9回実施したほか、サークル団体連絡協議会や各団体などへの個別説明会、ワークショップ、アンケート、チラシ(下記画像参照)の全戸配布などを丹念に実施してきた。開館当初は利用者からの声が市議会を通して寄せられることもあり、丁寧な対応に努めてきた。
PFI付帯事業としてスーパー・学生向け賃貸住宅・カフェが開業
PFI事業による公共施設整備と一体的に、市有地を定期借地権により貸し出して民間付帯事業を実施していることも大きな特徴だ。中でも学生向け賃貸住宅というアイデアは、民間側からの提案を市が取り入れたもので、事前に面談して地域のお祭りやプラッツ習志野で行われるイベント手伝いなどの地域活動に積極的に参加する学生の入居を促進し、地域活性化の一翼を担ってもらうのがねらいだ。
このように施設のハード整備だけでなく、その担い手確保や地域の生活環境向上にも貢献する視野の広い提案を民間企業側から受け、実現できたのも官民連携事業ならではのメリットといえる。
官民連携による社会教育・市民活動の充実化
民間提案は、先述のような民間付帯施設開発にとどまらず、社会教育に資するプログラムに対しても活かされている。PFI事業者(指定管理者)の自主事業として、市民ホールでのコンサート等開催による市民の芸術鑑賞機会の提供、さまざまな運動系教室の開催などが行われ、好評を博している。
加えて、新設のフューチャーセンターを通じて市民活動を行う機会の提供や、初動支援・活動補助を通して、共同イベントの生み出しや働きかけを行ったことで、市内はじめ各所で事業実施や講師として活躍される方、新たにサークルを立ち上げて活動する方など、地域で活躍する方々を生み出している。こうした積極的な活動を通じて、多くの市民の利用と多世代の交流に寄与しているのも、官民連携による特筆すべき効果だ。
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