公民館・図書館の官民連携/デジタル活用事例

「多世代が交流・滞在する居場所」、武蔵野プレイス(東京都武蔵野市)

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地域の核となる公共複合施設

東京都武蔵野市はベッドタウンであり、多くの子育て世帯を有する。そんな武蔵野市西部の武蔵境駅前に立地するのが、図書館などといったこれまでの公共施設の類型を超えて、複数の機能を積極的に融合させ、地域社会の活性化を深められるような活動支援型の公共施設、「武蔵野プレイス」である。

https://www.musashino.or.jp/place/1001617/1001618.html

老若男女を問わず集う場(プレイス)づくり

 平日の昼間も、図書館を利用されるご年配の方や、学校帰りに友達と遊びに来た小学生など、老若男女を問わず活発な利用がなされている。特に施設として力を入れているのが、一般に公共施設から足が遠のきやすい中・高・大学生層だ。スタジオラウンジ(青少年向けラウンジ)では、学校の宿題をする中高生や、課題のレポートに取り組む大学生の姿で賑わっている。
「青少年のたまり場となることを意識している」と館長は語る。青少年が企画に関わるイベントもあるが、それよりも、ふらっと気軽に「たまる」ことができる施設としての在り方こそが、若年層を公共施設へ惹きつける秘訣のようだ。

指定管理者制度の導入による、4機能をワンストップにまとめる運営

武蔵野プレイスは、図書館、生涯学習支援機能、市民活動支援機能、青少年活動支援機能の4機能が複合化された施設である。しかし、これらの機能はそれぞれ、庁内における所管課が異なり、予算枠等の問題をはじめとして庁内での横の連携に課題を有していた。
そこで市は、武蔵野プレイスを市直営でなく、施設の有する4機能を横断的に運営可能な民間主体に指定管理者として施設の運営を担わせることを決定した。市の外郭団体である公益財団法人武蔵野文化生涯学習事業団を指定管理者として指定し、その中で4機能に横断的に従事する人員を採用・育成している。具体的には、図書館を利用する若者を青少年活動支援(相談事業、相互交流・理解促進事業等)へとつなげたり、生涯学習機能(スタディスペース)の利用者にセミナーの情報や印刷設備を提供することで市民活動への昇華を促したりと、行政における所管課の違いによるコミュニケーションロスを最小限にとどめることができている。
このように、公共施設の各機能の所管部署が庁内で縦割りになっている場合でも、指定管理者制度を導入することでワンストップな運営が可能となる点が、指定管理者制度のメリットである。


https://www.musashino.or.jp/place/1001617/1001619.html

指定管理者による運営体制構築・担い手育成

武蔵野市画像1
武蔵野市画像2

指定管理者の性質の異なる4機能を積極的に融合させ、利用者どうしがもっている情報を共有・交換しながら、知的な創造や交流を生み出すという理想を実現するにあたっては、人材の育成が最も重要なポイントとなる。スムーズな人材育成を実現すべく、武蔵野文化生涯学習事業団では、武蔵野市との人材の相互派遣による人材育成・交流や、研修教材の拡充などの施策を実施している。そのような運営体制が、地域住民にとっても満足度の高いサービスの源泉となっている。

周辺地区のまちづくり・再開発と合わせた設計・整備

武蔵野プレイスは、JR中央線・武蔵境駅の目の前という、恵まれた立地に所在する。この地はかつての国有地を市が購入したもので、立地の利便性から市の核となることが期待されていた。そのため、本施設は「武蔵境のまちづくり推進の一環」としても市の計画に位置付けられていた経緯がある。
一方、武蔵野プレイスの4機能を所管する各部署は、教育委員会等に属しており、まちづくり・再開発に対する知見は必ずしも十分でない。そのため、企画時は、企画政策室(現総合政策部)に属しまちづくりに先見を有する企画調整課が計画を推進し、計画決定後、教育委員会に主導を移管するという流れをとった。
社会教育施設においては、所管課における民間活用の知見が不足しているがためにPFI/指定管理者制度導入に踏み出せていないというケースも多い。整備段階は首長部局が計画を推進し、その後各機能を所管する部局に移管するというスキームは、活用しうるだろう。

 
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