廃校施設にPFI法のコンセッションを適用
福岡市と北九州市の中間に位置する都市・福岡県宮若市。2006年に宮田町と若宮町の合併により誕生し、2024年現在の人口は約2.7万人である。かつては炭鉱都市として発展したほか、企業の工場も多数立地しているが、近年の人口は減少傾向が続いている。その結果、廃校が多数発生するという課題を有しており、廃校を活用した地域活性化を市として志向していた。
「リモートワークタウン ムスブ宮若」は、廃校施設を活用したコンセッション事業により整備された。本事業は、民間企業である株式会社トライアルグループより提案され、検討が開始された。トライアルグループは、スーパーマーケット「トライアル」の運営を軸とし、九州・沖縄エリアに本社を置く企業としては売上高6位を誇る。
近年はリテールAI事業を強化しており、流通産業革命を起こすにはAI開発拠点が必要との考えから、旧吉川小学校をAI開発センターとして整備する検討を開始した。
旧吉川小学校を活用して、トライアルグループおよび取引先企業が入居するAI開発拠点「MUSUBU AI」(旧吉川小学校校舎をリノベーション)、地元産の食材を使った料理が提供される農園レストラン「グロッサリア」(旧吉川小学校体育館)、地元産の食材を販売する産直販売所「みやわかの郷」(旧吉川小学校運動場)が整備された。
「リモートワークタウン ムスブ宮若」は、廃校施設を活用したコンセッション事業により整備された。本事業は、民間企業である株式会社トライアルグループより提案され、検討が開始された。トライアルグループは、スーパーマーケット「トライアル」の運営を軸とし、九州・沖縄エリアに本社を置く企業としては売上高6位を誇る。
近年はリテールAI事業を強化しており、流通産業革命を起こすにはAI開発拠点が必要との考えから、旧吉川小学校をAI開発センターとして整備する検討を開始した。
旧吉川小学校を活用して、トライアルグループおよび取引先企業が入居するAI開発拠点「MUSUBU AI」(旧吉川小学校校舎をリノベーション)、地元産の食材を使った料理が提供される農園レストラン「グロッサリア」(旧吉川小学校体育館)、地元産の食材を販売する産直販売所「みやわかの郷」(旧吉川小学校運動場)が整備された。

(写真:施設外観)
(出所:宮若市HP)
(出所:宮若市HP)

(写真:施設外観)
(出所:宮若市HP)
(出所:宮若市HP)
PFI法の提案制度を活用し民間企業を一本釣り
本事業の最大の特長として、民間企業の提案により検討がスタートしたことが挙げられる。PFI法第6条では、民間事業者から公共施設の管理者に対して事業実施の提案が可能な「民間提案制度」が規定されている。本事業ではこの制度を活用し、一般的なPFI事業で実施される時間をかけた公募プロセスを実施せず、提案者のトライアルグループをコンセッション事業者に選定した。その結果、通常のコンセッションに比べ、迅速に事業推進が可能となったことが、本事業の実現のカギと言えるだろう。こうした市の迅速な対応を受け、トライアルグループの宮若市への進出は加速しており、その後も複数の拠点が継続的に市内に立地している。

(出所:宮若市「旧吉川小学校跡地の公共施設等運営事業」(中国、四国、九州・沖縄エリアPPP/PFI推進勉強会)
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kanminrenkei/content/001621124.pdf
またコスト面としては、内閣府「地方創生関係交付金」を活用することで、民間企業による施設改修費の負担を抑制することをサポートしている。
デジタル企業が変える地方都市の姿
本事業を発端とし、トライアルグループは宮若市を拠点に小売業としてのデジタル化による事業革新を推進していくことが期待される。
同じように、民間企業が自治体を舞台にデジタル化を推進していく事例として、アメリカ合衆国・アーカンソー州に位置するベントンビルという都市が挙げられる。スーパーマーケットチェーン・ウォルマート発祥の地として、本社や研究開発拠点が立地しており、社員の住宅やレクリエーション・文化芸術施設が盛んに整備されている。
ベントンビルとその周辺では、研究開発拠点設置の次の展開として、今度は町全体を新たなサービス開発の実証フィールドとみなすような取組を実施している。例として、スマートフォンのアプリでスーパーマーケットの商品を注文する宅配ボックスサービスや、ドローンによる荷物配送サービスの実証実験を行っている。
このように、従来からの自社事業のデジタル化を志向する企業と協力にタッグを組むことで、施設内にとどまらずこうした町中をフィールドとして使った、地方部においても日本で最先端の技術・サービスを体感できるまちづくりが期待される。今後も宮若市とトライアルグループの取り組みから、目が離せない。
同じように、民間企業が自治体を舞台にデジタル化を推進していく事例として、アメリカ合衆国・アーカンソー州に位置するベントンビルという都市が挙げられる。スーパーマーケットチェーン・ウォルマート発祥の地として、本社や研究開発拠点が立地しており、社員の住宅やレクリエーション・文化芸術施設が盛んに整備されている。
ベントンビルとその周辺では、研究開発拠点設置の次の展開として、今度は町全体を新たなサービス開発の実証フィールドとみなすような取組を実施している。例として、スマートフォンのアプリでスーパーマーケットの商品を注文する宅配ボックスサービスや、ドローンによる荷物配送サービスの実証実験を行っている。
このように、従来からの自社事業のデジタル化を志向する企業と協力にタッグを組むことで、施設内にとどまらずこうした町中をフィールドとして使った、地方部においても日本で最先端の技術・サービスを体感できるまちづくりが期待される。今後も宮若市とトライアルグループの取り組みから、目が離せない。
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