公民館・図書館の官民連携/デジタル活用事例

中枢都市のリーダーシップで複数自治体に電子図書館を導入「くるめ広域電子図書館」 (福岡県久留米市ほか)

  • 電子図書館
  • 自治体間連携
  • 連携中枢都市圏

4市2町が共同で運営する「くるめ広域電子図書館」

「くるめ広域電子図書館」は、福岡県南西部の筑後地域、久留米市を中心とした4市2町(久留米市、大川市、小郡市、うきは市、大刀洗町、大木町)で共同運営されている電子図書館サービス。コロナ禍によって図書館が休館を余儀なくされたことをきっかけに、自宅でも楽しめる来館不要のサービスとして令和6年3月に「くるめ広域電子図書館」のサービスが開始された。

いつでもどこでも電子書籍を楽しめる電子図書館

「くるめ広域電子図書館」は、24時間いつでも好きな場所で、スマートフォンやパソコンから電子書籍を楽しめるサービスだ。書籍貸出のルールは、1回の貸出で3点まで、15日間電子書籍を借りることができる。返却期限が来ると電子図書館では自動で書籍が返却されるので、紙の本と違って延滞してしまうことがないのが便利だ。
電子図書館の導入が決まってから、利用開始に必要な図書館利用カードの再発行依頼や新規発行依頼が一定数あり、これまで図書館から足が遠のいていた市民にとっても電子図書館は魅力的なようだ。令和6年4月時点での利用者は30~50代が全体の6割程度を占めており、従来の図書館の開館時間中に利用することが難しい働く世代に多く利用されている。また、6~12歳の小学生の利用者も全体の11.5%を占めている。小中学校で1人1台配布している端末に電子図書館のページがお気に入り登録されており、学校での調べ学習や休み時間などにも使いやすいよう工夫している。
 
くるめ広域電子図書館:いつでもどこでも利用でき、自動返却機能もある       
くるめ広域電子図書館:いつでもどこでも利用でき、自動返却機能もある
出所)久留米市ホームページ

電子図書館導入までの検討は、久留米市が主導

「くるめ広域電子図書館」は、久留米広域連携中枢都市圏に属する4市2町が共同で運営している。連携中枢都市圏とは、中心となる中枢都市が周辺の市町村と連携し、地域全体の発展を目指す取り組みだ。久留米市は、久留米広域連携中枢都市圏の中枢都市として、平成28年度から他の構成市町との連携事業を行ってきた。今回の電子図書館導入もこの仕組みを活かして実現している。
 電子図書館の導入方法や運営ルール等はすべて久留米市が検討し、取りまとめたものを他の市町に連携する形で協議を進めた。規模の小さい他の市町では単独での導入が難しかったが、久留米市のリーダーシップにより、導入のモデルが完成した状態で参加でき、小さな業務負担で円滑に電子図書館を導入することができた。
 
4市2町での役割分担       
4市2町での役割分担
出所)ヒアリングをもとに事務局作成

今後の展望:長く愛されるサービスとなるために

「くるめ広域電子図書館」はサービス開始から間もないため、さらに多くの人に利用してもらうための周知活動を積極的に行っている。各自治体のホームページやSNSなどでの広報に加えて、小中学校では全員に紙のチラシを配布するなど、訴求先によってデジタルとアナログを使い分けた発信を行っている。また、効果測定には、アンケート調査のほか自動的に集計できる年代・時間帯別の利用者数の動向を活用し、市民の声を取り入れながら取組を進めている。こうした利用動向がデータで随時、容易に把握でき、ターゲットを明確にした上で今後の打ち手を検討・実施しやすい点も、まさにデジタルならではの強みだ。

 
本事例の詳細は、こちらをご覧ください。

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