公民館・図書館の官民連携/デジタル活用事例

社会教育施設PFIの先駆け、iプラザ(東京都稲城市)

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前例の少なかった「社会教育施設×PFI」における先駆け

全景
(写真:全景)

稲城市立iプラザは、「であい・ふれあい・まなびあい」をコンセプトとして掲げる、東京都内のベッドタウン・稲城市に立地する複合文化施設である。生涯学習活動及びコミュニティ活動の推進、文化芸術の振興、青少年の健全育成を目的とし、ホール、スタジオ、会議室等に加え、図書館や市役所出張所等の機能を併せ持つ。
iプラザは、平成21年にPFI(BOT方式)を活用して建設された。PFIが日本に導入されたのは平成11年であるが、平成21年当時、社会教育施設においてPFIを導入した事例は数少なかった。一方、稲城市は平成18年に、稲城市立中央図書館の建設にあたりPFIを活用しており、官民連携の下地が整っていた。また、生涯学習課内にPFI準備室を設置し、専門知識を有する人材を登用することで、円滑な事業の推進に成功した。その結果、全国的にも「社会教育施設×PFI」の先駆けとなったのである。

鉄道駅直結の立地による高い利便性、市内外を問わず利用者を誘致

iプラザの立地は、京王相模原線若葉台駅より至近であり、アクセスの利便性が高い。この至便な立地に、市として複合施設の設立構想が浮上した際、従来の社会教育施設のような無料施設ではなく、民間の収益機能を付与させた複合施設が構想された。
駅からはペデストリアンデッキで直結しており、周辺地域の市内住民のみならず、沿線の市外住民の利用も盛んである。
 

図書館
(写真:図書館)

PFIのメリット:初期コスト削減、維持管理の高品質化

整備時の市担当者は、PFI導入には、大きく2つのメリットがあると語る。
1点目は、整備コストの削減である。iプラザの整備にあたっては、PFI事業者が整備費をローンにて調達した。自治体側に初期費用の元手がなくとも事業を推進しやすいことはメリットであるだろう。
2点目は、維持管理の品質向上である。PFIでは、設計・施工・維持管理業務が包括的に発注されるため、応札者もそれを踏まえて開業後の効率的な維持管理までを考慮した設計・施工方法を検討する。加えて維持管理期間も数十年にわたるため、長期的視点でライフサイクルコストが最小化されるような予防保全の観点を反映した維持管理が可能となる。利用者の満足度を高く維持できているのは、こうした維持管理によりいつまでも清潔感が保たれている側面も大きいだろう。

 

特色ある施設整備・イベント実施による魅力増進

ホール全景
(写真:ホール全景)
ホール壇上
(写真:ホール壇上)
ホールでのイベント
(写真:ホールでのイベント)

またiプラザの大きな特徴として、ハイスペックな音響設備を有するホールが併設されていることが挙げられる。これは地域住民の要望からであり、2023年現在でも多摩地域にはこれほどのスペックを有するホールは存在していないため、演奏会や練習等の会場としての人気が利用者増につながっている。
加えて、利用者のニーズに応じた社会教育に係る講座の企画・運営も、PFI事業者が盛んに実施している。例として、先述のホールを活用できる人材を増やすことを企図したレセプショニスト※養成講座や、小中高生を対象としたドラム講座などが挙げられる。こうした魅力増進の取組により、竣工から10年以上が経過した後も、多くの利用者を惹き付けているのである。


※来場者に対して会場案内等の便宜を図るなど、広範なサポートを行うことのできる人材

 
本事例の詳細は、こちらをご覧ください。

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