市民会館跡地を「育てる広場」へ転換
大阪府茨木市は、人口約29万人を擁する北摂地域の中核都市である。旧市民会館はJR茨木駅と阪急茨木市駅の中間に位置し、他施設とともに長きに渡って市の中心市街地におけるにぎわいを形成してきた。しかし、築45年を経過した旧市民会館は老朽化が進み、耐震性やバリアフリー面での課題、維持管理費の増大などから、2015年12月に閉館することとなった。単なる建替えではなく、「この場所に本当に必要な機能とは何か」をゼロベースで問い直すことから、新たな施設整備の検討が始まった。
(写真:施設外観)
(出典:茨木市HP)
(出典:茨木市HP)
(写真:フライタワー)
長大撮影
長大撮影
市民との徹底した対話から構想を形成
市は無作為抽出の市民5000人を対象としたアンケートの実施に加え、2016年10月~2017年2月、「市民会館100人会議」を開催し、年代や市民会館の利用経験などが異なる多様な市民と市長が直接対話を重ねた。会議では、「ホール機能の継承」だけでなく、「憩いの場」「世代を越えた交流」「にぎわいの創出」など、多様な意見が提示されるとともに、「使い方を自分たち市民自身に任せてみてはどうか」「時代に合わせて使い方が変わってもいいのでは」といった声が共有され、市は、これらの声と社会情勢や市の政策課題等を踏まえて、市民会館跡地活用のキーコンセプト『育てる広場』を設定した。以降、『育てる広場』実現に向けて、市民参加型のワークショップを108回実施し、延べ2,000人以上と約5,500時間に及ぶ対話を積み重ねた。
(写真:「市民会館100人会議」 第1話開催報告 )
(出典:茨木市HP)
(出典:茨木市HP)
(写真:新施設・広場「おにクル」の開館記念冊子について)
(出典:茨木市HP)
(出典:茨木市HP)
社会実験「IBALAB(イバラボ)@広場」による共創の実装
おにクル整備に先立ち、旧市民会館跡地では暫定的な広場空間「IBALAB@広場」を設け、さまざまなことを市民の手で「やってみる」社会実験が展開された。行政が用途を決める従来型の公園整備とは異なり、「禁止事項」を定めるのではなく、「できること」を増やしていくことを基本姿勢とし、「つくる」「つかう」の繰り返しにより利用者とともにルールや運営方法を検討・更新していくことで運営のあり方を磨き上げた。その成果は年間多数のイベント開催という形で具体化され、こうした実践の蓄積は、おにクル開館後の運営体制へと継承されている。
(出典:茨木市HP)
(出典:茨木市HP)
日常風景を生み出す運営の工夫
おにクルでは、指定管理者的な運営にとどまらず、日常的な滞在風景を可視化する取組も行っている。取材時(R8.2)には、施設のエントランスや7階テラスなど館内の共用空間を使った、「おにハル」企画が展開されており、老若男女が応募した青春時代やおにクルでの「あるある」が展示されていた。この企画は、おにクルの「企画・連携ユニット」が検討・実現したもので、放課後に集う学生や、共有空間で語り合う親子連れ、シルバー世代といった来館者が、それぞれの青春や日常の何気ない風景を知り、時には共感できるような間接的なコミュニケーションツールにもなっていた。こうした取組は、おにクルの大きな特徴の一つである。公共空間に対する心理的なハードルを下げ、「ただいること」が許容される雰囲気を醸成する文化的アプローチとして位置付けられるものであり、とりわけ若年層の滞在利用を後押ししている。制度設計と日常風景づくりの両面から施設運営を行っている点に、おにクルの独自性があるといえる。
「青春あるある」「おにクルあるある」の取組)
長大撮影
本事例の詳細は、こちらをご覧ください。
- 添付ファイル
